新築物件や築浅物件、グレードの高い物件などは言うまでもなく「素敵な物件」です。見た目もカッコいいですし、高い家賃設定で募集することもできます。入居者の質もいいでしょう。アパートのオーナーならば、誰しもそのような素敵な物件を所有したい、と思うものです。
賃貸の営業の仕事をやっていたとき、僕はたくさんの人をこのような素敵な物件へ案内し、契約をしてきました。入居者も感じのいい人ばかりで、ほとんどの取引は何の問題もなくすすみました。こういう物件を所有している大家さん自身も、ほとんどがお金持ちの大家さんで、いろんな意味で余裕のある人ばかりでした。
僕は散々、このような素敵な物件にあこがれました。でも、アパート経営について本格的に学んでゆくうちに、このような素敵な物件が必ずしも100%いいわけではないという考えを持つようになりました。
しだいに新築物件や築浅物件、ハイ・グレードな物件の『暗部』『悪い部分』に目がいくようになっていったのです。
不動産投資をこれからやろうと思っている人にぜひ言っておきたいことがあります。それは、『素敵な物件=最良の物件ではない。』ということです。アパート経営は、あくまでビジネスです。ビジネスということは、儲けなければいけません。僕たちは慈善活動(ボランティア)をやってるわけではないのです。
そして「儲かる」「儲からない」の話でいれば、素敵な物件というのは儲かる物件ではないのです!
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家賃設定が高めの物件ならではのデメリットとは?
自分が住むための家ならば、採算を度外視してもいいでしょう。お金に余裕があるのならば、どんどんグレードを高くしていってもいい。しかし、ビジネスとなると、話は別です。
自己満足。…ビジネスをやる人はこの自己満足は、二の次三の次にしなくてはなりません。自己満足でお金が儲かるなら、こんなにラクなことはありません。しかし、自己満足だけでは収入を得ることは困難なのです。
ビジネスの視点に立って考えてみた場合、新築物件や築浅物件、ハイ・グレードな物件というのは、儲かる物件とはいえません。アパートを新築するともなれば、中古のアパートの何倍ものコストがかかります。ましてや土地も買って、その上にアパートを建てて…なんてことをやっていったら、ビジネスとしたら全然合わないでしょう。
ましてやハイ・グレードの物件ともなれば、常にそのクオリティーをキープし続けなければなりません。高い家賃を入居者に要求するということは、それに見合うだけのものを提供してあげる必要があるんです。…となると、部屋のリフォームにも、設備にも相当お金をかけなきゃいけないはずです。
大家さんはそのような代償を払う代わりに、入居者から高い家賃を得ているのです。はっきり言って、このやり方はあまり儲かりません! 「素敵な物件」というのは金食い虫なのです。それほど儲からないのです。
取得するのにお金もかかるし、維持管理するのにもお金がかかります。入居率が高いうちはまだいいでしょう。しかし、建物というのは必ず劣化していきますから、だんだん家賃を下げざるをえません。
懸命にお化粧をしたところでたかが知れています。まわりではボンボン新築アパートが建設されていきます。それらのアパートと常に競争しなければいけません。そして、常に高いクオリティーをキープし続けなければならないのです。
…それは容易なことではありません。
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新しくて、いい物件というのは、利回りが悪くなる
だいたいにして、そのような素敵な物件というのは利回りが悪いものです。だから、投資としてはどうなの? ビジネスとしてはどうなの?…という話になるんです。僕だったらそのような物件には絶対に手を出しませんね。
最初から土地を持っていて、その上にアパートを建てるとか、何千万もの貯金があって、それを自己資金にするとかというなら話は別ですが…。ゼロから土地も買って、アパートも建てて…なんてことをやっていったら絶対に合わないはずです。
恐らく利回りは10%を切るはず。7%とか、8%とかの世界になるのではないでしょうか。それは不動産投資としては、全然おいしくありません。不動産投資の魅力は、ほかの金融商品よりも高いパーセンテージを得られるところにあるのです。
アパート経営は、長距離走です。長ーい時間をかけてようやく結果が出るビジネスです。最初に8万円で募集していた家賃が10年後、15年後も同じ8万円で募集できるわけではありません。建物が古くなれば、それに合わせて家賃も下げなければ、入居者は決まりません。
でも、銀行へ毎月支払う額は変わりません。行きは良い良い 帰りは怖い。…それが「素敵な物件」の暗部です。だから僕はなるべくそういう物件には手を出さないようにしているのです。
やっぱりこっちも商売ですから。ビジネスですから。投資ですから。自己満足だけじゃ、メシは食えないのです。