不動産投資では「銀行からお金を借りられるの?」が最重要事項だと僕は思っています。
要するに銀行が貸してくれるのかどうかということです。
ここがクリアにならない限り、話は前に進んでいきません。
だけど、この関門が突破できないまま停滞してしまっている人もたくさんいます。
不動産投資をやりたくてもできない人が大勢いるのです。
不動産投資は株式投資と違って誰でもできるわけではありません。
銀行からお金を借りられる人でないとはじめることが困難な投資法なのです。
ここで一線が引かれてしまいます。
今まで一度も銀行との取引のない人がいきなりある日突然、銀行を訪問して「いくら借りられますか?」と聞いてもダメだと思います。
以前から取引している相手ならある程度、突っ込んだ話をしてくれるでしょうが、海のものとも山のものともわからないような人の話はあまり聞いてくれないと思います。
「まずは具体的な物件を持ってきてください」と言われるのがオチです。
ですから最初の物件を取得するときは不動産会社の営業マンとどこの銀行を利用するのかもひっくるめてよくよく打ち合わせをした方がいいと思います。
そして、いざ銀行に話を持っていくときはきちんと具体的に「ほしい!」と思っている物件が出てきてから行くようにした方がいいでしょう。
どんな金融機関で借入をしたらいいかについて
結局、銀行の方もただ漠然と「いくらまで借りられますか?」と聞かれても困るわけです。
その物件の金額やその物件の構造、築年数、その物件の立地条件や字形などによってもさまざまなことが変わってきます。
そして何と言ってもその申込者の属性によっても変わってきます。
「いくらまで借りられますか?」と問いは金額の話しかしていないのです。
検討しようにも材料が少なすぎるのです。
次にほしい物件が見つかって、物件資料を持って銀行に持ち込んだときにまず見られるのが収支のバランスです。
家賃収入はいくらなのか
それに対して返済額はどれくらいなのか
建物の築年数や構造はどうなっているのか
だいたい年間どれくらいの修繕費が発生しそうなのか
空室率はどのくらいになりそうか
客づけが用意なエリアにある物件なのか
減価償却はどのくらいか
その土地はどれくらいの価値(資産性)があるのか
その建物はどれくらいの価値(資産性)があるのか
etc・・・
そういったいろいろな部分がチェックされます。
そして、その総トータルで見た場合の収支(事業計画)はどうなるかという部分が見られるのです。
その金融機関の考え方によってどこを重視するのかは変わってきます。
一般的に大手になればなるほどその不動産の価値(要するに資産性)を重視する傾向があります。
信用金庫などの小さな金融機関になればなるほど収益性の方を重視してくれると思います。
大家側にとって嬉しいのは収益性で見てくれる金融機関の方でしょう。
だって、資産性の高い物件(土地が広い、建物が新しい、構造が立派、etc…)というのは金額が高くなります。
売買価格が高いということはそれだけ利回りが低いということになります。
つまり、あまり儲からない物件ということになってしまいます。
でも、その代わりの大きな銀行になればなるほど低い金利で借りられます。
だいたい今だったら1%で借りられるはずです。
新築などの場合は0.8%といった1%を切るような驚くべき金利で借りられるケースもあります。
ここは大きなメリットです。
一方、信金などの場合は大手の銀行よりもいろいろと融通が効きます。
信金の場合、大手と違って安心して貸し出せる先があまりなくて困っている側面もあるため多少、無理や融通が効きます。
だから比較的古い物件の場合であっても、融資をOKしてくれるケースが結構あります。
僕も最初の頃はずっと地元の信用金庫のお世話になってきました。
その代わり、信金の場合は金利が大手に比べると高くなりがちなのがデメリットです。
金利が高くなればなるほど収益を圧迫します。
だいたい2%以上取られるでしょう。
下手したら2.5%とか、3%とかって言われるかもしれません。
大手銀行の1%台の金利に比べると随分、差がありますね。
銀行から融資してもらえるかどうかがカギ
地銀などの大きい銀行は金利が低いのはいいのですが、頭がカタくて融通が効かないところがあるので、それが悩ましいところです。
土地と建物の積算価格のことばかり気にしたり、「頭金を2割も3割も入れてくれ」と言ったり、借入期間も短くしようとしてきたりします。
金利が低いというメリットを重視するあまり、すべて彼らの言うとおりにしていたら不動産投資としては失敗に終わるケースも多々あるでしょう。
彼らは自分のところの事情しか考えていないところがあります。
「いざとなったら高く売れそうな物件であるかどうか」という部分しか見ていないところがあります。
向こうも商売ですからそこは仕方がないことなのですが、こちらとしてもギリギリまで粘って交渉してこちらに有利な条件をひっぱってこれるようにするべきだと思います。
そうしなければ、不動産賃貸業という商売が成り立たなくなってしまいます。
信金は大きい金融機関に比べれて審査がそれほど厳しくない部分が最大のメリットになります。
法定耐用年収を経過したような古い物件でもクリアになるケースもあります。
ですから僕は思うのですが、不動産投資をスタートしたばかりの頃は信金を足掛かりにした方がいいと思います。
結局のところ、不動産賃貸業というのは銀行からお金を借りられてはじめてスタートできるビジネスなのです。
借りられなければ意味がないのです。
特にスタートして間もない頃は拡大していかなければならない時期です。
きっちり儲けを出して、きっちり実績を積み重ねていかなければならない時期です。
そういうこちらのニーズと信金の特性は結構マッチすると思います。
法定耐用年収を超えるような古い物件というのは利回りが高いのがメリットです。
その代わり、資産性は乏しい。
その資産性の乏しさが大手の銀行だと評価してもらえない。
でも信金は大手の銀行よりも収益性をみてくれるのです。
担保評価もきっちり見て、あまりにも価値がない物件の場合は断れるでしょう。
さすがにどんな物件でも審査が通るというわけではないのです。
でも大手の金融機関よりも、「きちんと返済できるような終始バランスなのか」を見てくれます。
そこは信金を利用する最大のメリットだと思います。
ただ、その代わり何度も言いますが、金利は高いです。
それがネックになることは間違いないでしょう。
融資担当者をその気にさせるコツ
不動産投資初心者の方が忘れてはいけないのが「なんでも自分でやらない」ということです。
特に銀行の融資というのは不動産投資の成功・失敗を大きく左右するような最重要ポイントです。
そこを勝手に判断して、自分ひとりの考えだけで突っ走ってしまわない方がいいと思います。
「なんでも経験だ!」とかって言って、手当たり次第に銀行にアタックしていき、それぞれの銀行で門前払いを喰らい、悪印象だけを与えて帰ってくるような人も結構います。
それだとまったく意味ないのです。
金融機関は海のものとも山のものともわからないような人は警戒します。
これも先ほど申し上げましたが、まずは不動産会社の売買担当者ときっちりスクラムを組んで、その担当者のよく知ってる銀行を利用した方がスムーズにいくと思います。
あと、なんだかん言って『属性』も大事になってきます。
無職の状態や非正規社員といった状態で融資をお願いしに行ってもきっと断られると思います。
きちんと給与所得があること
しかも正社員であること
勤続年数も長いこと
年収も高いこと
勤めてる会社は大手であればあるほどいいでしょう
etc・・・
とにかく銀行を口説き落とさなければならないのです。
彼らから信用を勝ち取らなければなりません。
そのためには属性を良くしておくことは非常に重要です。
物件の資産性も重要ですが、属性も重要です。
だから僕は不動産投資に興味を持っている若い人には、『会社に入社したら10年は勤めろ!』と説いています。
それは会社のためではなく、自分のためにそうするべきだと言っています。
散々、『自由』を語ってる僕がこんなことを言うのはヘンに聞こえるかもしれませんが、自由を獲得するためにはある程度の犠牲も必要なのです。
自由はタダでは手に入りません。
僕はイケハヤさんのように勤め人を『否定』しません。
勤め人を『利用』します!
やっぱり勤め人という肩書きと信用力はデカイです。
曲がりなりにもその肩書きを得てる人はそれだけアドバンテージがあるのです。
もちろん、「一部上場企業じゃないと全然ダメ!」という極端なことを言ってるわけではありません。
僕は北海道の地方都市の地元の不動産会社に勤務していました。
決して三菱商事とか、カルビーといった大手企業に勤めていたわけではないのです。
それでも融資はOKになりました。
でも、どんなに小さな地元の中小企業でも勤め人であることには変わりありません。
不動産投資初心者は絶対に勤め人という肩書きを外しちゃダメです。
「いつか自由の身になりたい」という気持ちはよく理解できます。
だけど、自由になるためにはひとつひとつ階段をのぼっていかなければならないのです。
海のものとも山のものともわからない人に、いったい誰が何千万円も何億円もお金を融資するでしょう。
簡単に会社を辞めてしまう人はその辺のことをわかっていない。
感情に任せて動いてしまったら、大金持ちになるチャンスも、自由になるチャンスも消失してしまうんです。
自由になるのはきっちり土台を固めて、大空へ飛び立ったあとの話。
それまでは下積み期間です。
融資の審査を通過するために必要なこと
ただ、いくらでも銀行から融資してもらえる高属性なのにアンチ不動産投資の人が多いのも事実。
そういう人も見るたびに僕は「勿体無いなぁ」「使えるリソースがあるのになぁ…」と思います。
不動産投資では「銀行からお金を借りられるの?」が最重要事項。
だから『属性』が大事になってくるのです。
基本的に銀行は勤め人にしか融資しませんからね。
本気で不動産投資をやりたいというのなら、石にかじりついてでも勤め人を辞めない方がいいと思います。
自由とかの話は「ある程度の段階」に達した後の話ですよね。
いきなり自由になれるなんてあり得ませんよね。
不動産投資に興味を持つのはいいんだけど、いちばん重要なことは『ところで、あなた、そもそもローンを組める人なんですか?』ということ。
そっちの方がはるかに重要です。
銀行の審査がOKにならなければ話にも何にもならないのだということを肝に銘じておきましょう。
キャッシュでポンっと高額な不動産を購入できるような自己資金を持ってる人なら話は別だけど、そんなヒトほとんどいません。
だからどうしても銀行のお金を借りて物件を取得しなきゃならない。
でも銀行がお金を貸してくれなきゃ話にならない。
ここはジレンマだと思います。
関門だと思います。
だけどそこを突破しない限り、不動産投資での成功はありません。
もしもその関門をどうしても突破できないのであれば、不動産投資自体をあきらめるより他に手はありません。
株式投資をやるなり、何かほかの商売をやるなりして別の方法で成功をおさめる道を模索したほうがいいでしょう。
まとめ
うちの会社は5棟という規模で不動産賃貸業を営んでいるけれど、MAXは10棟くらいまであった。
個人も含めると、もうちょっとあった。
ここ数年の不動産価格の(僕に言わせれば)『異常な高騰』に乗じて半分を売却した。
それができたのも1棟目が成功したおかげなんだよね。
銀行からお金を借りられなくなった時点で不動産賃貸業としての事業拡大はストップしてしまう。
借金が怖いんじゃない。
「借金ができない」ことが怖いんだよ。
そのためにはやっぱり『実績』ってすごく大事!
そのために最初の物件でつまずいてはいけない。
それを足がかりにしなければならない。
ほとんどのケースでは最初に取引した銀行とその後も交流を続ける。
その間、銀行は「入居率」も「経営状況」も「税金をいくら払ったか?」も、すべてをチェックする。
ごまかすことは一切できない。
2棟目、3棟目、4棟目、5棟目・・・と融資してもらうためには銀行から『信用』を得なければいけない!
個人(あるいは限りなく個人の規模に近い法人)の場合、ざっくり『1億円』というのがボーダーラインだと僕は思ってます。
アパート一棟ものだったら、ざっくり3棟目くらい…
1棟目、2棟目はすんなり融資してもらえたけど、3棟目で断れたという人も多いと思う。
それは『実績』が見られたんじゃないかな?
1棟目、2棟目のキャッシュフローはどのくらいだろう?
黒字になり、ある程度の税金は納めているだろうか?
やっぱり銀行はきっちりと結果を出してる個人(あるいは法人)じゃないと融資しないと思う。
だから「赤字になって税金払わなくて、ラッキー! バンザーイ!」ってわけにはいかないんだよ。
うちは昨年、税理士先生のアドバイスもあり、社有車、保険、共済、役員報酬UP、修繕工事など、昨年いろんな法人税対策を講じたため、今年の法人税は大したことなさそうです。
まずはひと安心です。
でも、もしもこれらの策を講じてなかったら・・・・
まあ、でも、赤字もマズイ。
適度の黒字でいきましょう!