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北海道でアパートの大家業をしてます。4人家族。映画が好き。猫が好き。北の国でなまらのんびり生きてます。“every cloud has a silver lining.” したっけ!

映画『ソーシャル・ネットワーク』の感想〜なぜ非モテの仲間たちと「おふざけ」をしていた頃のマーク・ザッカーバーグはあんなに楽しそうだったのか?


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今回は『ソーシャル・ネットワーク』という映画を取り上げたいと思います。大好きな映画です!

監督はみなさんご存じのデビッド・フィンチャー。『セブン』や『ファイト・クラブ』の監督としてあまりにも有名ですね。

どうしてこの映画が第83回アカデミー賞作品賞を取れなかったのか? 永遠の謎です。

『英国王のスピーチ』が悪い映画だとは言いません。でも、「そこは『ソーシャル・ネットワーク』でしょ!」とツッコミを入れたい。

これは第71回アカデミー賞作品賞が『プライベート・ライアン』ではなく、『恋におちたシェイクスピア』だった時に匹敵する珍事だと勝手に思っています! そうですよね、みなさん(笑)

とにかく何から何までが素晴らしすぎる作品です。会話に継ぐ会話でポンポン話が展開していきますんで、観ていて全然飽きません。

ただ、これだけは言っておきます。

  • これをfacebookを創業したマーク・ザッカーバーグのサクセス・ストーリーを描いた映画だと思ったら大きな肩透かしを食うよ!

__と。

その意味はこの映画を観ればわかります。

目次

作品概要 

ソーシャル・ネットワーク [Blu-ray]

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  • 原作:ベン・メズリック『facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男』
  • 監督:デビッド・フィンチャー
  • 脚本:アーロン・ソーキン
  • 音楽:トレント・レズナー
  • 出演:ジェシー・アイゼンバーグ/アンドリュー・ガーフィールド/ジャスティン・ティンバーレイク/アーミー・ハマー/ブレンダ・ソング/ルーニー・マーラ
  • 上映時間:120分
  • 公開:2010年/アメリカ

 

その年の世界各国の映画賞を独占し、『ローリング・ストーン誌』や『ロサンゼルス・タイムス誌』などでも年間ランキング1位に選ばれた本作。

興行的にも世界中で大ヒットを記録しました。トレント・レズナーが手がけた音楽も最高!

最後に流れるビートルズの『ベイビー・ユー・アー・リッチマン』も皮肉が効いてて笑わせてくれます。

マーク・ザッカーバーグを演じたジェシー・アイゼンバーグの演技も素晴らしい! 主人公の「なに考えてっかわからないカンジ」を見事に表現しています。

現在と過去、現在と過去が行ったり来たりするので、最初はちょっと戸惑うかもしれませんが、慣れていくと話に引き込まれていくと思います。

舞台はバーバード大学。

前半部分ではマーク・ザッカーバーグがいかにしてfacebookを立ち上げてゆくのかの顛末が描かれます。この前半部分がとにかくいい。

恋人にフラれたことによる腹いせによるちょっとした「おふざけ」。ところがこの「おふざけ」がやがて世界を変えてゆくことになります。

ね、おもしろそうでしょ?

着目して欲しいのは「マーク・ザッカーバーグという人がどういう人なのか?」ということ。彼は若くして世界的な大企業を創業した成功者なのか、それともコンプレックスをいっぱい抱えたちょっとヤバ目なオタクなのか。

いったい彼は何を考えているのか? あるいは何も考えていないのか?

この映画のおもしろいところは、それがだんだんだんだんわからなくなってゆくところです。

コメディなの? ミステリーなの? 

あなたもだんだんと観てゆくうちに、

  • マーク・ザッカーバーグって、バーバード通ってるのにどっかおかしいんじゃないだろうか…?

__という気分になってゆくはず。この映画の最大の魅力はそこだと僕は思います!

この作品に関するみんなの反応

レビュー 

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この『ソーシャル・ネットワーク』という映画を観るにあたって一つだけ「知っておいた方がいい!」という基礎知識のようなことがあるので、まずそれを記しておきます。

それは『フラタニティ』という問題です。

『ソーシャル・ネットワーク』の中にも「ファイナル・クラブ」とか「ポーセリアン」とか「フェニックス」といったたくさんのフラタニティの話が出てきます。

「フラタニティ」って何? はっきり言ってコレ、我々日本人にとってはまったく馴染みのないものです。

でもこの映画の中で最も重要なテーマに関わってくるものなので、一応「へぇ、アメリカの大学にはそういうのがあるんだなー」ぐらいに押さえておきましょう。

元々は中世後期のイングランドで生まれたものらしいのですが、いわば「友愛団体」や「連帯組織」のことです。

その団体には誰でも彼でも入れるわけではなく、厳しい審査と試験によって「選ばれたエリート」しか入れない由緒正しき会員制クラブみたいなものになっています。

アメリカって「自由で平等な社会」というイメージがありますが、それはあくまでも表向きの顔。実際は非常に排他的で、エリート主義的で、差別的なのです。

これは村上春樹もエッセイの中で書いていたことだけど、要するに僕らが想像する以上にアメリカというのは「エリートが幅を利かせている社会」なわけです。

この『ソーシャル・ネットワーク』という映画は実はこの「フラタニティをめぐって話が展開する映画」といっても過言ではないのです。

マーク・ザッカーバーグも、親友のエドゥアルドも、そのフラタニティに「入れる・入れない」の話を延々とやっています。

最初この映画を見たとき、僕はそのことが分かっていなくて、「いったいこの二人は何の話をしているのだろう?」と疑問に思いました。

このフラタニティを舞台にした映画って結構たくさん作られていて、いちばん有名なのは『アニマル・ハウス』というやつです。

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とにかく『ソーシャル・ネットワーク』という映画は、冒頭しょっぱなからこのフラタニティの話からはじまるので、予備知識として入れておきましょう!

マークと何から何まで正反対のウィンクルボス兄弟という存在

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僕がこの映画を観て「面白いなぁ」と思ったには、双子のウィンクルフォス兄弟。

バーバード大学に在籍していながらボートのオリンピック代表にも選ばれ、フラタニティの「ポーセリアン」にも入っているというエリート中のエリートの兄弟。

大富豪の家に生まれ、マーク・ザッカーバーグのことを「コイツ、使える」と表現するようないけ好かない兄弟。「アイデアをパクった」と言ってマークを訴える兄弟。

でもこの双子の兄弟、どこかマヌケなんです。

サマーズ学長にも「まるでブルックス・ブラザーズの営業マンみたいだ」とからかわれるし、マークからは「君たちがフェイスブックの発案者だというのなら、お前ら自身でフェイスブックを作ってみやがれ!」と言われる始末。

でもこういうお坊ちゃんって「そういえば僕が学生時代にもいたなぁ…」と思いました。いつも上から目線で、ふてぶてしく、自分たちは常にヒエラルキーのトップに君臨していると思い込んでいる奴。

そして、何かことがあるたびにすぐに学校の先生とかに泣きついて、「どうにかしてもらおう」とする奴。みなさんのまわりにもいたでしょ?

フラタニティと縁がなく、ユダヤ人として完全にマイノリティ側の人間であるマークにとって、こいつらみたいな存在は『いちばん許せねぇ』存在なのです。

その気持ち、痛いほどわかるなぁ…。

もしかしてマーク・ザッカーバーグは最初からこのウィンクルフォス兄弟を騙すつもり(もしくはからかうつもり)で「一緒にビジネスをやる」と言ったんじゃないだろうか?

これはマークなりの『ざまあみやがれ!』だったのではないだろうか?

もちろん、そのことによって訴訟沙汰に発展するわけですが、そんなことはマークは最初からわかっていたんじゃないかなと思うんです。

だって誰がどう見たって、ビジネス・パートナーとしてうまくいきそうにないですもんね。

 マーク・ザッカーバーグという人は究極的には何を考えていた人だったのか?

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『市民ケーン』というオーソン・ウェルズのものすごい映画があります。 

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デビッド・フィンチャーもインタビューで答えてる通り、『ソーシャル・ネットワーク』という映画は現在版の『市民ケーン』と言っていいでしょう。主人公は「大成功を収めた孤独な男」。

『グレート・ギャッツビー』といい、『ゴッド・ファーザー』といい、『市民ケーン』といい、etc…。アメリカは本当にこういう話が好きですね。

そして、どの主人公も心にぽっかり穴が空いているという点で共通しています。

マーク・ザッカーバーグも恋人のエリカからこう言われます。

 

あなたと話してると、話が噛み合わなくて疲れる。

 

それからどの主人公も上昇志向を持っていて、何とか「上流階級」に入ろう入ろうとする、というところも共通しています。そして見事にステータスを勝ち取るんだけど、最終的にはそこに馴染めなくて、転落してゆく‥…というところも共通しています。

この映画の中でもマークは何もかも手に入れたはずなのに、すごく寂しそうで、孤独です…。

「モテないオタク同士」の仲間たちとフラタニティの連中をからかって遊んでいた頃のマーク・ザッカーバーグの方がよっぽど楽しそうで、幸せそうです。

結局はすべては「コンプレックス」という言葉に集約されてゆくのではないでしょうか? その「コンプレックス」が最大のエネルギーにもなり、同時に最大の落とし穴にもなる。

入りたい→でも、入れない…。

選ばれたい→でも、選ばれない…。

愛されたい→でも、愛されない…。

最後の最後に皮肉たっぷりに流されるビートルズの『ベイビー・ユー・アー・リッチマン』は、こんな歌詞になっています。

 

素晴らしい奴らの仲間入りをして

君は今、どんな気分だい?

高いご身分になって見て

いったい何がわかった?

 

君は金持ち 君は金持ち

持ってるお金をカバンに詰め込み、それを『動物園』に隠したりして

君はいったい何考えてるの?  

 

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マーク・ザッカーバーグという人はいったい何を考えていたのでしょうか?

いったい何をやりたかったのでしょうか? いったい何を求めていたのでしょうか?

本当に世界規模の大企業を作りたかったのでしょうか? 本当に大金持ちになりたかったのでしょうか?

本当に「選ばれしエリート」になりたかったのでしょうか? それとも、ただただ恋人のエリカに振り向いて欲しかっただけなのでしょうか?

自分のことをわかってくれる「友達」が欲しかっただけなのでしょうか?

 『桐島』の前田とマーク・ザッカーバーグの共通点について 

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前回、僕は『桐島、部活やめるってよ』という素晴らしい日本映画を紹介しました。

www.nonbiri-happy.com

あの映画の中で映画部の仲間たちとゾンビ映画を作っている「前田」というキャラクターが登場します。彼はいわゆる非モテのオタク・キャラです。

この『ソーシャル・ネットワーク』の中のマーク・ザッカーバーグも同じような非モテのオタク・キャラです。女の子とはまったく縁がなく、週末の夜だというのに男子寮のむさ苦しい部屋の中でモテない野郎同士で集まっています。

当然のことながら、前田もマークも「チクショー!今に見てろよ!」というルサンチマンを抱えています。そのルサンチマンが前田の場合は映画製作へ、マーク・ザッカーバーグの場合はfacebookへと昇華してゆくわけです。

暗い部屋の中で仲間と「おふざけ」をするマークは本当に楽しそうです。オタクの仲間同士でゾンビ映画を製作をする前田も本当に楽しそうです。

そうやって彼らは彼らなりの『青春』を謳歌している。

コンプレックスは最大の武器になるのです。

ただし、マークの場合はあまりにも天才すぎました。他の追随を許さないほどの圧倒的な能力が逆に仇となり、彼はどんどん孤独になっていきます。

最終的には大金持ちになったけど、恋人には去られ、親友からは訴えられ、etc…。

観ていると、だんだん気の毒になっていきます。でも、この映画のおもしろいところはそれが深刻な形で提示されるのではなく、ちょっと「コミカル」な感じで提示されるところです。

ウィンクルボス兄弟がマヌケに描かれていると同じように、マーク・ザッカーバーグもマヌケに描かれているのです。

決して『幾多の混乱を乗り越えたヒーロー』として描かれていない。そこがおもしろい!と僕は思いました。

まとめ

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それにしても、この『ソーシャル・ネットワーク』というタイトル。

これも皮肉が効いてていいですね!

社交的ネットワーク

 

「『社交』って‥。お前が言うなよ!」と誰もがツッコミを入れたくなるようなギャグになっています。

世界最大のコミュニケーション・ツールを生み出した人物が実は人とまったく意思疎通ができない人間だったという笑えないオチ。

ベイビー・ユー・アー・リッチマン。

君はいったい何を考えてるの?

 

したっけ! 

DVD&Blu-ray

ソーシャル・ネットワーク (字幕版)
 

サントラ 

THE SOCIAL NETWORK

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原作本

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