会社が黒字になり、法人税が気になりだしたら、まずは社長の報酬や役員の報酬なんかを高くしちゃえば、節税対策になります。
うちみたいな家族経営の会社の場合、それはあまり難しいことではありません。
僕の役員報酬を高くしたり、家族への給料を出したりして会社の利益を分散させれば、それだけ法人税を払わなくても済むのです。
こういう調整ができるのが法人(会社)の最大のメリットです。
でも役員報酬や給料を高くしまったら、法人税は安くなるけど、その分、個人の所得税が高くなってしまいます。
なんかいい方法はないのでしょうか?
実は、あるんです!
それは、『小規模企業共済』というものを利用するやり方です。
小規模企業共済は、経営者のための退職金積立制度
社長の報酬を高くすることをためらう経営者の人はいっぱいいます。
なぜ、ためらうのかといえば、個人の所得が増えてしまったら個人で払う所得税や住民税も増えてしまうという考えが頭にあるからです。
しかし、社長の報酬をアップさせても所得税や住民税が増えない方法があるとしたらどうでしょうか?
『小規模企業共済』を使えば、それが可能になります。
小規模企業共済というのは、いわば『商売をする人のための退職金積立制度』みたいなものです。
サラリーマンや公務員には退職金というものがありますよね。
でも我々のような商売をする人には、そもそも退職金というものがないんです。
これはちょっと不公平です。
そこで始まったのがこの小規模企業共済なのです。
毎月、積み立てておくことによって会社をたたんだり、事業を廃業したりした場合、ここから退職金代わりにお金が出ます。
若干の利子も付きます。
だから「将来、事業をやめた時のための貯金」という位置づけで、この小規模企業共済に入っている事業者は結構いるのです。
全国で474万人が加入していると言われています。
小規模企業共済に入っておけば、経営者や役員の所得税が安くなる
この小規模企業共済に入り、毎月、積み立てていけば、自分が引退するときにお金がもらえます。
銀行預金よりも良い利率で利息を受け取ることもできます。
掛け金は月に1,000円~7万円
でも、この小規模企業共済の最大の特徴は経営者や役員の所得税が安くなるということです。
だから社長の役員報酬を増やしたとしてもその増えた分で掛け金を支払ってしまえば、所得税を低く抑える効果があるということです。
もしも役員報酬を毎月70,000円(年間84万円)UPしたとしてもその分、小規模企業共済への掛け金もMAXの70,000円にしちゃえばいいだけのこと。
そうすることによって法人税対策にもなるし、個人としては所得税対策になるし、一石二鳥というわけなのです。
さらに将来受け取る共済金は税制上でいえば「退職金」とか「公的年金」に該当します。
退職金や年金というのは税制上、優遇されていますので一時所得なんかよりもずっと税金が少なくて済むんです。
小規模企業共済に加入できるのは社長だけではありません。
会社の役員ならば、誰でも加入することができます。
小規模企業共済のデメリット
ただし、小規模企業共済にもデメリットがあります。
それは小規模企業共済にいったん加入してしまうと銀行の普通預金みたく自由に引き出したりすることができないというデメリットです。
小規模企業共済というのは経営者や事業主の退職金のための積み立てみたいなものです。
ビジネスを廃業したりして、何らかの理由で退職したりしたときでなければ受け取ることができません。
事業を廃止しなくても解約することはできます。
しかし、その場合、給付額が少なくなってしまいます。
それまで積み立てた分がまるまる全額、戻ってくるわけではないのです。
この辺りを考慮して、よくよく考えたうえでこの制度を利用した方がいいでしょう。
まとめ
法人をやってる人、これから法人をやってみたいと考えてる人へ耳寄り情報です。
役員報酬をUPしても『小規模企業共済』に加入すれば所得税を節税できます。
・節税(所得税を大幅に節税するのはこれしかない)
・貯金(政府の機関だから安全)
・資産運用(1%前後だけど)
この制度を利用すれば、一石三鳥です。
法人
セーフティ共済に入って→貯金しながら法人税を節税
個人
小規模企業共済に入って→貯金しながら所得税を節税
なおかつ微々なる利回りだけど資産運用もできる!
*政府系だからほぼ元本保証みたいなもの
*1%台だけど(節税分を合わせたらもっと…)、銀行預金0.01%よりははるかにマシだよね
なおかつ、いざ!となったら年1.5%で2,000万円まで借り入れできる。
ただし、役員報酬をあげちゃうと、社会保険料もUPしちゃうので、そこは要注意です。
そして、社会保険料の方は税金のように対策はほとんどできないのです。
あっちの方は減らす術がまったくないのです。
小規模企業共済の加入資格
- 建設業、製造業、運輸業、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または法人(会社など)の役員
- 商業(卸売業・小売業)、サービス業を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の事業主または法人(会社など)の役員
- 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員や常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
- 常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
- 常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人などの士業法人の社員
小規模企業共済の掛け金
- 毎月の掛け金は、1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で自由に選択できる
- 加入後、増・減額ができる(ただし、減額する場合は一定の要件が必要)
- 掛け金は、全額が所得税の所得控除の対象となる
小規模企業共済の一時貸付金制度
加入者は掛け金の範囲内で借入れを行うことができます。
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