不動産投資にとって「キャッシュフロー」は確かに重要なことです。
不動産投資をやる人間というのはこのキャッシュフローがあるおかげで銀行へ毎月借金を支払うことができるのです。
ましてや僕のような専業大家はそのキャッシュフローがあるおかげでなんとか生活することができているのです。
もしもキャッシュフローがなくなってしまったらその瞬間にすべてが終わってしまいます。
しかしながら、『過剰なまでにキャッシュフローに比重を置き過ぎる』というのはあまりにも危険なことです。
キャッシュフローに固執しすぎることは大けがを引き起こす可能性すらあります。
不動産投資の「儲けどころ」は、決してキャッシュフローだけではないのです。
『売却による益(=キャピタルゲイン)』も大事な大事な儲けどころなのです。
そして、そのことを知っておくことは不動産投資を成功させるうえであまりにも重要なことだと僕は思っています。
この売却が「益」となるのか「損」となるのかによってその投資が成功だったのか、それとも失敗だったのかということが決まってしまうのです。
目次
キャッシュフローにばかり注目した不動産投資は危険
ロバート・キヨサキ氏の本ではあまりキャピタルゲインのことを良く書かれていません。
その影響かもしれませんが、不動産投資初心者の人の多くが『キャッシュフロー』をあまりにも重視しすぎる傾向にあるという話をよく耳にします。
反対に、『キャピタルゲイン』のことは、あまりきちんと考えていない、と…
もしそれが事実だとするならば、僕はこれほど危険なことはないと思っています。不動産会社に勤務していた頃、僕も「売却時のことなんか、ほとんど何も考えていない」という人とたくさん接してきました。
彼らはまるで「不動産投資というのは、キャッシュフローしかない!」といった感じでした。あまりにも毎月々の儲けのことにばかり注目しすぎるあまりに、「物件を手放すときのこと」とか、「物件を売却するときのこと」をきちんと考えていないのです。
どうしてみんな『出口』のことを考えないのだろう? どうしてみんなキャピタルゲインのことをきちんと考えた不動産投資をしないのだろう?…僕はそれが不思議でなりませんでした。
確かにロバート・キヨサキ氏の本を読めば、キャピタルゲインよりも、インカム・ゲイン(キャッシュフロー)の方が大事だ!…と思ってしまいそうになります。だけど、それは違います! 僕に言わせれば、不動産投資において「キャッシュフロー」と「キャピタルゲイン」は、クルマの両輪のようなものです。どちらが欠けてもダメなのです。
株式投資は、不動産投資とはかなり違う投資法です。だけど、どちらも『投資』という意味では一緒です。株式投資にとってのキャッシュフローに該当するものは、「配当金」ですよね? だけど、株式投資をしている人がいちばん気にしているのは、株を手放すときのキャピタルゲイン(売却益)の方です。
「株をやる人は配当のことなんてまるで気にしない」なんて極端なことを言うつもりはありません。だけど、どちらかといえば、株というのはキャッシュフローよりも、キャピタルゲインの方を当てにして投資をする投資法です。
これにならって、不動産投資もきちんとキャピタルゲインのことも考えるべきだ!…というのが僕の意見です。
ロバート・キヨサキ氏とちょっとだけ違うことを言うようですが…。
「保有し続けることのリスク」も考えなければいけない
キャッシュフローにばかり注目した不動産投資をやっていると、「キャッシュフローがあるうちはずっと物件を保有し続けなきゃならない」という強迫観念に縛られることになります。しかし、物件を持ちつづけていることによるリスクもまた存在しているのです。
たとえば、大規模修繕などがリスクのひとつとして数えられます。大きな物件になればなるほど、修繕工事にかかる費用も大きくなります。外壁の塗装や、屋上の防水加工などをやるとなれば、それだけで何百万円というお金が吹っ飛んでいきます。
何百万ものお金をアパートの家賃収入だけで稼ごうと思ったら、いったいどのくらいの期間がかかるでしょうか? 僕たち大家業をやってる人間にとって、最も恐ろしいことが、この大規模修繕工事です。でも、建物というのは必ず老朽化していきますから、いつかはこの工事をやらなきゃいけないことになるのです。
物件を保有し続けていれば、このリスクはずっと付いてまわるのです!この大規模修繕工事のリスクを回避するための方法は2つあります。
- 大規模修繕工事をやるときのため用に、普段からお金をためておく
- 大規模修繕工事をやる前に、売却をしてしまう
別に不動産という大きな買い物をしたからといって、ずっと物件を保有し続けなければならないというわけではありません。次から次へと物件の売り・買いをくり返したって、別に構わないのです。
実際にそんな風に物件を売り・買いをくり返すことで、莫大な利益をあげているプロの不動産投資家の人はいます。彼らは「キャピタルゲインは儲かる」ということを知っている人たちです。
儲かるからこそ、キャピタルゲインを狙って不動産を購入するのです。彼らはある程度まで物件を保有し続けたら、パッと手放します。そして、キャピタルゲインを得て、そのお金を頭金にして、また新たな物件を購入するのです。
…このようにすれば、お金を大規模修繕工事に充てる必要はなくなります! とても賢い方法だと思います。しかし、このやり方を実践するには、かなりの熟練のワザが要ります。素人ができる芸当ではありません。
不動産を売ったり買ったりをくり返すわけですから、銀行とも太いパイプを結び、いつでも融資をしてもらえるような信頼関係を構築しておかなければなりません。…それはなかなか普通の人にはできないことです。
このようなやり方は、『焼畑農業』に近いものがあります。「こっちの畑で儲けたら、それを焼き払って、今度はあっちの畑に移る…」といったカンジです。
まとめ
不動産投資において「いつ買ったらいいのか」も重要だけど、僕は「いつ売ったらいいのか」も極めて重要だと思っています。
その売り時を逃すと絶好の機会はもう二度とやってこないかもしれないのです。
市場にはサイクルってものがある。
株価にも不動産価格にも春夏秋冬があるのです。
価格は波のように上下します。
大切なことは真冬に買って真夏に売ること。
僕は基本的にはキャピタルゲインを目的に投資はしないんだけど、そうは言っても目の前に大儲けのチャンスが転がり込んできたら、そりゃ、それに飛びつきますって。
でもそういうチャンスというのは滅多にやって来ないのです。
だからそういう滅多にやって来ないものをアテにするキャピタルゲインを目的にした投資を僕は好まないだけ。
個人・法人問わず、僕はこれまで何棟も売却してきました。
結果的にその売却益があったおかげで滑走路から飛び立つことができました。
そして、今は飛行機でいうところの『自動操縦』の状態になっています。
つまり今の僕の安定は市場の波にうまく乗り、絶好のタイミングで売り抜くことができたおかげというわけなのです。
もちろんパフォーマンスのいい物件は売る必要はありません。
でもそこそこの物件だったら(保有していてもそれほど大きなキャッシュフローをもたらしてくれないような物件だったら)、売れるときに売れ!というのが僕のスタンスです。
特にここ数年の不動産バブルはスゴいものがあります。
僕の物件たちも目ん玉が飛び出るような価格で売れました。
逆に言えば、それだけの値段で買った人がいるということです。
それを考えるとちょっと恐ろしくなります。
とても正気の沙汰とは思えないです・・・
僕が「パフォーマンスが悪いな」と思って売却した物件を喜び勇んで購入していった人がいるのです。
今、日本の不動産を取り巻く現状はそんなふうになっているのです。
みんなバブルに浮かれて、冷静さを失っているんです・・・
株式投資には「逆張り」という言葉がありますよね。
僕はこれ、『人のやることの逆をやれ』というふうに解釈しています。
これは不動産投資にも当てはまります。
今、空前の不動産投資ブームが起こっています。
本屋さんでも不動産投資の本がズラリと並んでいます。
みんないい物件を血眼になって探している状態です。
ということはどういうことか?
今が不動産の絶好の売り時だということです!
みんなと逆のことをやる。
これこそ逆張りでしょ。