ドナルド・トランプ大統領が先日、「日本は為替を操作している」と発言してちょっとした話題になりましたね。
この「為替」というものに大きく影響を及ぼしているのが今回の記事のテーマ、『日本のマイナス金利政策』です。
実は僕はドナルド・トランプと同じ不動産の世界に身を置いている人間です。
不動産と金利というのは切っても切り離せない関係です。
そこで今回はこのマイナス金利のことを記事にしてみたいと思います。
目次
- 以前は銀行自身も預金金利を得ていた
- マイナス金利政策は景気対策の一環ではじまった
- 本来なら舞台に立てないような役者まで舞台に立つようになったら、気をつけろ!
- こんなに高い値段でアパートを建てちゃって、大丈夫?
- リテラシーを身につけよう
- まとめ
以前は銀行自身も預金金利を得ていた
「マイナス金利」と聞いてみなさんはどんなイメージを持たれるでしょうか?
中には「銀行に預けているオレの預金金利がマイナスになる」と勘違いされてる方もいらっしゃいます。
でも、そうではありません。
日銀が発表したマイナス金利政策というのは、僕らの預金金利ではなく、銀行の預金金利に影響を及ぼす話なのです。
僕らが余ったお金を銀行に貯金しておくのと同じように、銀行も余ったお金を日本銀行に預けています。
その日本銀行に預けている銀行の預金がマイナスになりますよ!という話なのです。
だから今回のことで、銀行は日銀にお金を預けていても一銭にもならないことになりました。
それどころか、ある一定以上のお金を預けていたら、莫大な「手数料」を取られちゃう。
さあ、困った…という話なのです。
マイナス金利政策は景気対策の一環ではじまった
なんで、こんなことを日銀がやるのかというと、やっぱり『経済的理由』です。
お金を預けているだけで儲かるんだったら、銀行はどんどんお金を日銀に預金しようとします。
だけど、それじゃ世の中にお金がまわっていきません。
ビジネスというのは銀行からお金を借りてやるもの。
その銀行がお金を貸さずに預金ばっかりするようになったら、日本経済はおかしくなってしまいます。
企業の業績も悪化し、景気もますます悪くなり、「マイナスのスパイラル」におちいります。
こうなることを恐れた日銀と政府が今回、苦肉の策として打ち出したのがマイナス金利政策というわけなんです。
要するに、
- 銀行よ、金ばっかり預けてないで、本来の業務をやれ!
- そして、日本じゅうにお金を流通させて、経済を活性化させろ!
ということです。
銀行は大量のお金を自分のところの金庫にただ眠らせておいても仕方ないので、「しょうがない。融資でもするか…」ということになるわけです。
本来なら舞台に立てないような役者まで舞台に立つようになったら、気をつけろ!
「貸し渋り」という言葉が流行ったことがありました。
でも今は一部ではまったく逆の「貸し過ぎ」という現象が起こっています。
それは主に僕が属している不動産の世界で起こっています。
僕は今の動きを大変、危機感を持って眺めています。
みなさんご存じないかもしれませんが、今、銀行は超積極的に不動産にお金を貸しています。
それはいいことなのか?
僕はそうは思っていません。
サブプライム・ローンのことを思い出してください。
本来なら貸せないような人にまでお金を貸した結果、アメリカはどうなったでしょうか?
今、たくさんの不動産投資希望者がを銀行に殺到しています。
いろんな属性の人が押し寄せています。
中には「何千万円も、何億円も借り入れできること自体がおかしい…」という人も含まれています。
彼らは本来なら舞台になんかとても立てないような役者さんみたいなものです。
演技も何もあったもんじゃありません。
今、そういう素人大家さんが日本全国でバンバン誕生しているのです。
だけど銀行はそんな人もバンバンお金を融資しています。
不動産に抵当権を付けているので、
- いざとなったら売ればいいっしょ!
というわけです。
不動産投資が加熱し、物件を求める人が多くなると、物件の数自体が少なくなります。
物件が少なくなると、当然、物件の価値が上がります。
だから今、びっくりするような値段で不動産が取引されたりしているのです。
僕も昨年、ある物件を売却して、大儲けしました!
取得した時の値段よりも高く売れたんですよ。信じられますか?
危ないですよ!
こんなに高い値段でアパートを建てちゃって、大丈夫?
確かに不動産の売り買いが活発になれば、それだけお金は動きます。
銀行も儲かるし、不動産会社も儲かるし、売主も、買主も儲かります。
(買主はどうかな? 異常な値段で買ってるからね…)
それから、建設会社も儲かります。
今、新築のアパートの建築ラッシュが日本各地で起こっています。
これだけ人口減少や空き家が問題視されているのに、新築のアパートがバンバン建設されているのです。
建築費?
もちろん、バカ高いですよ!
資材費も、人件費も、土地代も、何もかも高いです。
それらはすべて「アパート経営の収益」を圧迫するはずです。
それでも、新築アパートを建てようとする人が後を絶ちません。
- 銀行もバンバン貸してくれるし、借りたって金利も1%台だし、今、建てるしかないっしょ!
というわけです。
銀行も新築のアパートが大好き。
トンチンカンな事業計画書なのに、バンバン金を貸します。
あなたの家のまわりでもたくさんアパートの工事してるでしょ?
リテラシーを身につけよう
そんなにたくさん入居者っているんですかね?
新築ともなれば、地方都市でも1ヶ月の家賃は6万とか7万円とかしますよ。
東京とかだと、もっと高いんでしょ?
そんな高い家賃を毎月、払える人って、そんなにいっぱいいるんですかね?
僕にはまったくもって疑問です。
10年後、どうするんですかね?
そんなに高い値段で建築しちゃって…
- 物件は古くなる
- 変動金利でローンを組んでるから、おそらくその頃には金利も恐ろしく高くなってる
- カツカツだから家賃をガクンと下げるわけにもいかない
利回りが悪い不動産投資物件を取得するということはこういうリスクもあるということです。
不動産投資に興味があるんだったら、そういうことも見越してやらなければなりません。
不動産投資のノウハウより先に身につけなきゃいけないのは、商売人としての洞察力とか識別眼です。
リテラシーです。
不動産投資だって立派な商売ですからね。
まとめ
不動産投資がやりたくても銀行の融資審査が通らなければ話は前に進まない。
ただ、融資の審査が通ったからって喜んでばかりもいられない。
「頭金を4割用意しろ」とか「融資期間は10年」とか厳しい条件をつけられたら僕は収支計算をして合わないのならば『やめたほうがいい!』と考えるタイプです。
「融資が出るだけラッキー。借りられる時に借りてた方がいい。融資がしまったら大変だ」と言う人もいる。
でも僕はそういうふうには考えない。
選ぶ物件の利回りも気にするし、融資の条件も気にする。
資金繰りが悪化するような取引はすべきではないと思ってます。
絶対、あとで苦労するから…
建物は必ず劣化し、古くなれば必ず修繕工事が必要になる。
入居者は「なるべく家賃の安い部屋」を探してるから家賃減額交渉もしてくる。
必ず空室も発生する。なかには滞納する人もいる。
全部、これ、『お金(キャッシュ)』で解決しなきゃいけない問題だよね!
だから資金繰りって大事なんです。
「交渉したけど融資期間を25年にしてもらえなかった」という場合もあるだろう。
大手の銀行は頭が硬いから条件は厳しいよ。
信金は当たったのだろうか?
連帯保証人の話は?
共同担保は?
公正証書は?
もしかしたら「金利を3%にしてもいい」と言えば通るかもよ。
こちら(借りる側)もいろいろと頭を使わないと!