サカモトハルキの哲学

経営者。投資家。不動産投資と株式投資やってます。趣味で詩も書いてます。5棟74室+月極P24台(2010年12月より法人化)。配当狙いの個別株投資。

FRBや日銀が大規模な金融政策を発表したのにアメリカと日本の株式市場が暴落した理由について。

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2020年3月16日(月曜日)は株式市場にとって歴史的な日となりました。

この日、二つの大きな出来事が起こりました。

 

まず一つ目はアメリカのFRBが1%もの緊急利下げを実施すると発表したこと。

もう一つは日本の日銀がさらなる金融緩和を行うと(これまた緊急的に)発表したことです。

 

www.bloomberg.co.jp

 

FRBが政策金利を緊急的に利下げするというのは非常にめずらしいことです。

リーマンショックや9・11のときなど株式市場が大暴落して大混乱におちいったときに発動されるものです。

 

いわば「ここぞ!」というときに出す必殺技のようなものです。

その必殺技が利下げという技になります。

 

そのパーセンテージは一気に1%です。

これによってアメリカの金利は0.00〜0.25%になり、2008年のリーマンショック以来のゼロ金利が4年ぶりに復活することになります。

 

これだけ「アメリカ経済は危機に直面している」ということ意味しているのです。

やはり今回のショックは相当なものなのでしょう。

 

アメリカは直前までとても景気が良かったんです。

だけど一気に景気悪化のフェーズへと突入してしまいました。

そしてFRBは金利を下げるだけでなく日銀同様に米国債を買い入れたりする量的緩和も行うと発表しました。

 

これによって市場に安心感をもたらし、株価の暴落を食い止めたいというねらいがあったのだと思います。

 

FRBはつい先日も緊急会議を開いて金利を下げたばかりでした。

そのときは0.5%を下げました。

しかし、それでも株価の下落が止まらないので今回、さらなる利下げに(しかも一気に1%も!)踏み切ったのでしょう。

 

そのFRBの発表に対してマーケットは「さらなる暴落」という反応を示しました。

NYダウは約3,000ドル安くなり、再びサーキットブレーカーが発動されました。

1日としては1987年のブラックマンデー以来の大幅な下落を記録しました。

 

なぜ市場は今回のFRBの発表に対してNOという反応を示したのでしょうか。

もともとFRBというのはアメリカの投資家のあいだで評判が良くない組織だったようです。

そのFRBのトップに就任したパウエルという人も「トランプの仲間」ととらえている市場関係者も少なくないとのこと。

 

トランプはずっと利下げを要求してきました。

しかしFRBはなかなか利下げに応じず、トランプとケンカをしてきました。

とくに今のパウエル議長になる前のイエレンさんとトランプは何度も衝突しています。

 

そんな背景もあり、今回パウエルさんが思いきって緊急利下げに踏み切ったことをトランプ大統領はとても喜んでいました。

金利が安くなると、企業も個人も金融機関からお金が借りやすくなります。

そうなれば経済が活性化し、世の中に出回るお金の量が増えます。

 

ところが金利が高いままだと、「お金を借りてビジネスをやるのを控えよう」という心理がはたらきます。

そうなると経済は活性化しません。

景気が悪くなります。

 

金利を低くするというのはそういう状態になるのを避けようという狙いがあるのです。

日本のゼロ金利政策も同じです。

ただ、このFRBの緊急利下げの発表というのは株式市場にとってはあまり良くない結果になることが多いようです。

 

過去をふりかえってみても、株価は最初の反応としては3%近く上昇することが多いのですが、その後6ヶ月後には下落するというパターンが多いそうです。

株価というのは『炭鉱のカナリア』です。

先行して景気の良し悪しをあらわします。

 

今回のマーケットの反応は「これからますます景気が悪くなる」と市場が判断したということを意味しています。

FRBの下支えだけではそれを食い止めることができないと判断したということなのでしょう。

 

FRBはおそらくトランプからのプレッシャーがあって渋々、緊急利下げに踏み切ったのではないでしょうか。

株価が反応しないこと、それどころか今後株価が下落してゆく可能性があることは当然知っていると思います。

 

ところが大統領選挙を控えたトランプは「なんとしても株価を元に戻したい」と考えています。

株価が暴落したまま大統領になった人はいないと言われているからです。

おそらくトランプは今後なりふり構わずにいろいろな手を打ってくるはずです。

 

FRBはこんなに早く伝家の宝刀を抜いてしまっていいのでしょうか。

株価が暴落したのはついこないだのことです。

今回のショックが終息するのはいつになるのかまったく先行き不透明です。

 

それなのにこんなに早々に緊急利下げという最後の必殺技を繰り出してしまったFRB。

後になって困ることにならなきゃいいのですが。

 

今が「ここぞ!」というときなのかどうかは誰にもわかりません。

僕は本当に景気が悪化して、にっちもさっちもいかない状態になっても『できることは何もない』『できることはすべてやった』という状態にならなきゃいいなと思っています。

 

日銀も緊急会議を開いて新たな金融緩和を発表しました。

しかしながら、こちらもアメリカ同様に株価は暴落しました。

 

日経平均株価は一瞬だけ上昇しましたが、すぐさま下落し、一時的には500円を超える下げ幅を記録しました。

つまりアメリカのダウ同様、日本の日経も上がるどころか下がってしまったのです。

 

日銀の今回の追加緩和の内容はかなり大掛かりなものでした。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k200316b.pdf

 

ETFの買い入れも年間6兆円から12兆円に増やすと発表しました。

REITの買い入れも年間900億円から1,800億円に増やすと発表しました。

さらに社債も積極的に買ってゆくと明言しました。

 

FRBと違って日銀はとっくの前からゼロ金利政策をつづけています。

だからアメリカと違ってこれ以上金利を下げることはできないのです。

 

これだけの大盤振る舞いをやっても株価は上昇しなかったのです。

これは非常に興味深い現象だと思います。

 

日銀はこれまでも幾度もETFの買い入れをやってきました。

ちまたでは「日銀が株価を買い支えている」と言われていますが、その日銀による効果がいかほどのものなのかは誰にもわかりません。

 

それでも「何かやらなくちゃいけない」という政治家や政府からの圧力があって日銀はもしかしたら嫌々ながらやっているのかもしれません。

「こんなことやったって大して変わらないんだけどな…」と内心では思っているのかもしれません。

 

世界の投資家はそういった日銀の本音の部分も見透かしているような気がします。

それが今回のマーケットの動きなのかもしれません。

 

僕はこんなツイートをしました。

 

 

 

日銀がいくらETFを購入しても大して株価が上がらないのなら、それはただ単にお金をドブに捨ててるのと同じです。

泥棒に追い銭なのです。

 

僕は日銀が世のため人のためにお金をつかうのはいいことだと思っています。

だけど、そのお金を何につかうのかということの方が重要です。

 

株やREITを買うことが世のため人のためになるとはどうしても思えないのです。

おそらく市場もそれが言いたいんだと思う。

「株式市場を良くするのではなくて、実体経済を良くしろ」とマーケットは言いたいんだと思います。

 

それはアメリカでも同じです。

今回のショックはリーマンショックとは違うのです。

 

リーマンショックは金融市場の話でした。

だから金融政策で問題を封じ込めることができました。

 

あのときも中央銀行は多額の量的緩和政策を実行しました。

しかし、今回はその金融政策が効かないのです。

それは今回の問題が金融市場の問題ではないからです。

 

どこの問題かというと、実体経済の問題です。

みなさんの日々の生活に直接関係する問題です。

だからFRBも日銀も実体経済を良くするような政策を打ち出さなきゃいけないのです。

 

それなのに「あのときうまくいったから今回も…」といった具合に同じやり方で問題を解説しようとしています。

だから株価は暴落したのです。

 

熱を下げなきゃいけないのに胃薬を与えているのです。

熱を下げなきゃいけないときに必要なのは解熱剤ですよね?