不動産投資と株式投資の最大の違いは「コントロールできるか、できないか」の違いです。
不動産投資の場合はピンチが襲ってきてもいろいろと策をこうじることができます。
ひと言で「不動産投資におけるピンチ」と言ってもいろいろありますが、いちばんわかりやすいのは『空室』でしょう。
部屋が決まらなければ話になりません。
大家業というのは入居者さんからもらう家賃収入で成り立ってる商売です。
入居者さんがいて、その人が家賃を振り込んでくれなければ銀行へのローン返済もできなくなってしまうのです。
でも不動産投資の場合、このような空室の発生というピンチのときでもいろいろと策をこうじることができます。
うまくいくかどうかはわかりませんが、とにかく「指をくわえてただ見てるだけ」という状態にはおちいりません。
たとえば、
家賃を下げて募集する
ペット可にして募集してみる
部屋をリフォームしてみる
新しい設備を設置してみる
広告料を増やしてみる
etc・・・
このようなさまざまな策をこうじることによって、もしかしたら空室が埋まるかもしれません。
でも株式投資の場合はそういうわけにはいきません。
もしも保有している株が暴落して大きな含み損をかかえたり、保有してる企業の業績が悪化したり、その業績の悪化にともなって配当が廃止されたりしたとしてもこちらにできることは何もありません。
文字どおり、「ただ指をくわえて見てる」ことしかできません。
その企業の本社に電話して、「おたくの商品、値段が高いので来月からもっと値下げした方がいい」とか言っても聞き入ってはくれません。
そこが不動産投資と株式投資の最大の違いです。
要するに不動産投資はコントロールができて、株式投資はコントロールができないのです。
僕は両方の投資に足を突っ込んでみて、そのことがよくわかりました。
もちろん不動産投資にもデメリットはいっぱいあります。
不動産投資が株式投資よりも優れた投資法であるなんて言うつもりは毛頭ありません。
だけど、「コントロールできるか、できないか」「いざというときにこちらにできることはあるか、ないか」という視点で見た場合、不動産投資の方に軍配があがるでしょう。
ここでひとつの疑問が浮かびます。
じゃあ、なぜ不動産投資の場合はピンチのときにこちらに手立てがあるのに、株式投資の場合はそれがないのでしょうか?
それはこういうことだと思います。
不動産投資はビジネス(商売、事業)であるのに対して、株式投資の場合は投資だからです。
ビジネスと投資。
似てるようでこのふたつはまったく違うものです。
老舗の和菓子屋さんは明治維新も太平洋戦争もバブル崩壊もリーマン・ショックもくぐり抜けてきました。
だから現在も「創業150年」とかって看板を掲げてやっているのです。
世界に誇る日本の老舗の大企業たちも創業からだいぶ時間が経っていますよね。
みんな時代の荒波を乗り越えてきました。
そこにはさまざまな困難があったであろうことは容易に想像がつくと思います。
なぜそんなことができたか?
それはそれが商売・ビジネス・事業だからです。
自分の工夫や知恵で結果に影響を与えることができたからです。
コントロールできるということ。
それは投資にはできないことです。
商売というのは経営者が優秀で、お客さん(=顧客)がいてくれれば成り立ちます。
株式市場がどうなろうが関係ありません。
ときの政権がどんな経済政策を打ち出したとしても、舵取りを間違えなければ乗り越えてゆくことができます。
年金制度がどうなろうが、健康保険制度がどうなろうが、日経平均株価やS&P500がどうなろうが、etc・・・
家族にメシを食わしてゆくことができます。
商売人たちはそうやってしたたかに生き残ってきました。
先祖代々、ずうーっとそうやってサバイバルしてきたのです。
これが不動産投資と株式投資の最大の違いです。
不動産投資が株式市場の影響を受けないのはそれが投資ではなく、ビジネスだからです。
だから僕はいつも若い人に「自分のビジネスを持とう!」と言っています。
それは「何に投資をするか?」よりもはるかに大事なことです。
だけど、世の中の多くの人はビジネスで成功することよりも、投資で成功することをまず最初に考えます。
順番が違うんじゃないかなと僕は思います。
まずビジネスをスタートさせ、そのあがりで投資をやるという順番の方がいいと思います。
僕の場合はあくまでも本業は不動産賃貸業です。
株式投資もやってはいますが、それは本業からのアガリの一部をつかってやってるだけに過ぎません。
僕は投資というのはそのくらいのスタンスでいいのだと思います。
「全財産を投資に突っ込む!」みたいなマネは絶対にしない方がいいと思います。
おそらくそのやり方はうまくいきません。
なぜなら投資というのはコントロールができないからです。
ピンチがやってきてもこちらの創意工夫でそのピンチを脱することができないからです。
できることと言えば、指をくわえて見てるか、売却する(損切りする)ことぐらい・・・
いちばんいい方法は、『自分のビジネスを持つ』ということです。
自分のビジネスを持ってる人は知恵を使って危機を乗り切ることができます。
政府の突然の方針転換にもうまく対応することができます。
そうやって荒波をくぐり抜け、家族を養ってゆくことができます。
日清食品も、ブリヂストンも、トヨタ自動車も、そうやって生き残ってきました。
だからみなさんも自分のビジネスを持ちましょう。
経営者になろう。
事業家になろう。
人に雇われる側ではなく人を雇う側にまわりましょう。
商売で成功するのは簡単なことではありません。
僕は不動産賃貸業という商売でメシを食い、家族を養ってるけど、本当にいい物件を見つけるのは至難のワザです。
いい物件が見つかったとしても、いい条件で銀行から融資をひっぱってこれるかどうかもわかりません。
でも可能性はゼロではありません。
現に僕は素晴らしい物件をいくつか見つけることに成功し、いい条件で銀行と取引をしたおかでで10年近く法人としてやってこれわけですから。
挑戦するだけの価値はあると思います。
僕は37歳のときに脱サラして起業しました。
そのとき散々まわりから「バカだ」「マヌケだ」「世間知らずだ」って言われました。
「絶対にうまくいきっこない」「そのうち行き詰まるに決まってる」と・・・
でも僕は考えました。
どうせ苦労するんだったら自分の好きなことをやって苦労しようって。
サラリーマンをやっていたって大変なことっていっぱいある。
通勤ラッシュ
社内の人間関係
営業ノルマ
サービス残業
休日出勤
くだらない会議
接待
それやこれやが原因のストレス
etc…
仕事が原因でうつ病になってる友人も何人もいます。
おそらくみなさんのまわりにも(もしかしたらみなさん自身も)いっぱいいらっしゃるのではないですか?
『この会社は楽園みたいなところだ』といった超ホワイト企業のリーマンだったら僕だって死ぬまで会社員を続けていたと思います。
でも幸か不幸かそうではありませんでした。
だったら自分の力で何とかするしかありません。
日清食品の創業者やブリヂストンの創業者がやってきたように僕も創意工夫でピンチを乗り越えてゆくしかありません。
サラリーマンもラクじゃない
事業家もラクじゃない
どっちもラクじゃない
だったら僕は「事業家になって苦労した方がいいな」と考えました。
僕はもともとサラリーマンには向いてないタイプの人間だということは自分でもわかっていました。
人生80年。どうせ死ぬんだったら本当にやりたいことをやって死んでやろうと思いました。
まあ、半分やぶれかぶれみたいなところはありましたけどね。笑