サカモトハルキの哲学

経営者。投資家。不動産投資と株式投資やってます。趣味で詩も書いてます。5棟74室+月極P24台(2010年12月より法人化)。配当狙いの個別株投資。

僕の記憶の片隅にいる恋人

 

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二人は汽車に乗って

湖のほとりにやってきた

そこにあるベンチに腰かけて

ぎこちない会話をした

僕は思った

「どうして午前中に出かけてしまったんだろう」

「夕方の方がロマンティックだったのに」

それでも彼女はとても魅力的だった

僕は自分のすべてを呪った

「僕にはとても受け止められない」と思った

それくらい彼女はまぶしかった

 

でも、恋はいつもねじれてしまうもの

コンピューター・プログラミングのようにはいかないのさ

 

 

それから二人はしばらく歩いた

僕の頭は混乱していた

もうすぐ帰りの汽車の時間が迫っていたけど

街には戻りたくなかった

このまま彼女を連れ去って

どこかへ逃げ出したい気分だった

彼女との出会いに運命を感じていた

だけど、彼女は浮かない顔をしていた

 

でも、恋はいつもねじれてしまうもの

コンピューター・プログラミングのようにはいかないのさ

 

 

街に戻ってから

二人の関係はそれ以上、発展しなかった

彼女の心がまったく見えなくなっていた

僕を欲しているのか

それとも僕を避けているのか

まるでわからなかった

だから僕は部屋に閉じこもって

ドアーズを聴いた

ボブ・ディランも聴いた

となりの家に住む奇妙な爺さんとも仲良くなった

やがて僕はそっちの世界に興味を惹かれていった

そして、恋をするのに疲れていった

 

恋はいつもねじれてしまうもの

コンピューター・プログラミングのようにはいかないのさ

 

 

 

僕は夜中に何度も目を覚ました

彼女が僕を呼ぶ声が聞こえたからだ

だけど、彼女はどこにもいなかった

その頃、彼女は新しい恋を見つけていた

僕ひとりだけがその暗い部屋に取り残されていた

僕は窓を開けてみた

でも空は見えなかった

まだ世が明けていないのだ

星も見えなかった

それを『運命』と呼ぶにはあまりにも残酷すぎた

 

恋はいつもねじれてしまうもの

コンピューター・プログラミングのようにはいかないのさ

 

 

 

僕は彼女と歩いたあの湖に行ってみた

汽車に乗って

たったひとりで

そして、二人で座ったベンチにひとりで腰をおろしてみた

そこには腕時計が置かれていた

残念ながら時計の針は止まっていた

僕は思わず辺りを見回してみた

彼女がそこにいるような気配がしたからだ

でもそこには誰もいなかった

しばらくそのベンチに座って

何かが起こるのを待ってみた

だけど、いくら待っても何も起こらなかった

ただ時間だけが残酷に過ぎてゆくだけだった

 

恋はいつもねじれてしまうもの

コンピューター・プログラミングのようにはいかないのさ

 

 

 

思い出は色褪せない

彼女と会うことはもうないかもしれないけど

僕の記憶の片隅にはいつも彼女がいる

彼女は秘密を抱えていた

「あなたにそれを知られるのが怖い」

と彼女はよく言っていた

それがいったいどんな秘密なのか

彼女はついに一度も口にしなかった

今にして思えば

僕はそれを知らなくて良かったんだと思う

知ったところで僕にはどうすることもできなかったと思う

僕は彼女を失ってしまった

運命の歯車は狂ってしまった

それはもう取り返しのつかないことなんだ

 

 

恋はいつもねじれてしまうもの

コンピューター・プログラミングのようにはいかないのさ

 

 

 

サカモトハルキ 『僕の記憶の片隅にいる恋人』