不動産投資をするうえで「税金」のことを知っておくことって非常に重要です。
いつどんなときにどんな税金がかかるのかをまったく知らない状態で不動産投資をスタートさせるのはあまりにも危険なことだと思います。
そこで今回は僕なりに不動産投資にまつわる税金のことについてまとめてみましたのでぜひ参考にしてみてください。
不動産投資には大きく分けると次の3つのフェーズがあります。
① 購入
② 保有
③ 売却(承継、相続含む)
この3つのうちすべてに税金がかかってきちゃいます。
まずそのことを知っておかなければなりません。
購入時にかかる税金
印紙税
売買契約書を作ったら必要になります。
契約自体は印紙税がなくても成立しますが、不動産契約と印紙税の納税の話はまったく別の話になります。
印紙税をきちんと払わないと税務調査などで指摘された場合、追徴課税ということになりますので注意しましょう。
売買価格が多くなればなるほど印紙税の方も高くなります。
収入印紙代は経費に計上できます。
不動産取得税
土地や建物を取得したときに必ず課税される税金のことです。
よく「忘れた頃にやってくる」と言われる税金なのですが、不動産を取得してから約3ヶ月後くらいに納付書が送られてきます。
なかには不動産取得税というものがかかることを知らないで売買契約をしてしまい、納付書が送られてきてはじめて金額を大きさにびっくりするという人もいるみたいです。
気になる税率なのですが、基本的には『4%』です。
不動産取得税は経費に計上できます。
ただ、毎年さまざまな軽減措置がとられていますので、必ず物件を取得する前に確認するようにしましょう。
出典:https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/money/fudosan_syutokuzei/
登録免許税
不動産を取得するときには必ず法務局にある登記簿に土地と建物の所有権を登記します。
そうしないといったい誰が所有者なのかわからなくなり、大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。
登録免許税とはこの登記続きをする際に国に納めなければならない税金です。
登録免許税は経費に計上できます。
出典:https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/money/toroku_menkyozei/
保有してるあいだにかかる税金
固定資産税
不動産を保有していると毎年かかるのが固定資産税です。
市区町村に払います。
固定資産税は不動産に対してかかってくる税金なので、たとえ賃貸経営が赤字の状態になっていても課税され、納税しなければなりません。
ここが所得税や法人税などと違うところです。
固定資産税がバカ高くなるような物件はキャッシュフローが悪くなるので、賃貸経営にとってはあまり良くはありません。
固定資産税はできれば家賃の0.5ヶ月、もしくは1ヶ月内に抑えておいた方がいいと言われています。
土地の固定資産税については小規模住宅用地として課税標準が6分の1になったり、新築の建物に減免があったりします。
固定資産税の税額は『固定資産税評価額 × 1.4%』で算出されます。
固定資産税は経費に計上できます。
出典:https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/money/koteishisanzei_hyokagaku/
出典:https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/money/koteishisanzei_hyokagaku/
所得税・住民税
その物件を保有しているあいだに儲けたお金に対して課せられる税金です。
所得税を計算するもとになる「所得」というものはおよそ10種類くらいの分類があります。
そのなかで不動産投資をやって利益を得た人は『不動産所得』という所得に該当します。
所得税には他の所得と合算させて計算する総合課税というものと、単独で計算するものの2種類があり、不動産所得は総合課税になります。
ですから、他に所得があった場合はその所得と不動産所得を合算して所得税を算出しなければなりません。
ちなみに株式投資をやって得られた所得(配当所得、譲渡所得など)は分離課税になっています。
そして、合算した所得が高くなればなるほど税率も高くなるという超過累進税率という計算の仕組みを取ります。
所得税と住民税は経費計上ができません。
所得税の税率はこのようになっています。
基本的に不動産所得は不労所得なので控除できる経費がそれほどありません。
だから不動産投資は税負担から見た場合、結構重いという言えます。
損益通算
不動産投資をやっていて赤字が発生した場合は他の所得と通算して計算することができます。
つまり、不動産投資の赤字分を他の所得から差し引くことができることになっています。
これを損益通算といいます。
サラリーマンの人が不動産投資をやって入居者がなかなか入らず、赤字になってしまったような場合、給与所得から不動産所得で出たマイナス分を相殺することができます。
そうすることによって最終的な所得金額が少なくなります。
所得が少なくなれば税率を低くなり、結果的には納める税金も少なくなるということになります。
ちなみに青色申告者は3年以内に生じた損失は今年度に繰り越して控除することができます。
この損益通算をしてそれでもまだ赤字分が残ってしまったような場合は、青色申告をしているだけに限り3年間赤字を繰り越すことができます。
ですから不動産投資を個人でやる場合は青色申告をしておいた方がいいでしょう。
譲渡所得に関しては他の所得と合算しない分離課税ということになっていますので、損益通算の対象から外れていますので注意が必要です。
出典:https://upset-review.com/tax/file-a-tax-return/aggregation-of-profit-and-loss-order.html
法人税
不動産を個人ではなく、法人名義にしていた場合は保有しているあいだに儲けたお金に対して課せられます。
所得税は超過累進税率と言って儲ければ儲けるほど税率が高くなっていくというものでした。
所得税と住民税を合わせるとざっくり最低でも15%、最大だと60%にもなります。
それに対して法人税の方は超過累進税率ではなく基本的には二段階しかありませんので、儲けに対して25%〜35%の法人税率を課せられることになります。
法人成りをすることのデメリットとしては社会保険が強制加入になtたり、経理処理が複雑になり、税理士への報酬が発生するといったことが挙げられます。
法人成りすることのメリットはやはり個人に比べると節税がしやすいということが挙げられます。
個人と法人の節税をざっくり分けると、次のとおりになります。
・損失の繰越
個人:3年
法人:10年(中小企業)
・事業主の給与
個人:認められない
法人:認められる(ただし定期同額)
・家族従業員給与
個人:専従者給与のみOK
法人:OK(非常勤役員等)
・事業主賞与
個人:認められない
法人:事前に確定届出をすればOK
・事業主退職金
個人:認められない
法人:認められる
・接待交際費
個人:認められる(事業に関連するもの)
法人:認められる(中小企業は800万円まで)
・決算変更
個人:認められない
法人:認められる(届出のみでOK)
他にもいろいろあり、挙げればキリがなくなりますのでこの辺にしておきます。
法人税は次の計算式に基づいて算出されます。
・課税所得 ✖️ 法人税率 = 法人税額
法人税率は次の二段階があります。
① 課税所得800万円まで ⇨ ✖️15%
② 課税所得800万円まで ⇨ ✖️23.4%
この法人税の他に「法人住民税」と「法人事業税」などがかかります。
法人税は経費計上ができません。
ただし、法人事業税は経費計上ができます。
出典:https://www.ht-tax.or.jp/topics/20150525/
事業税
もしもその個人の大家さんが事業的規模に到達するくらい本格的に不動産投資をやっていた場合に課せられます。
具体的な話をすると、不動産所得で290万円以上あった場合です。
たくさん物件を取得して大きく儲けはじめたとしたら、個人の所得税・住民税のほかにこの事業税というものも発生してきちゃいますので注意が必要です。
ちなみに税率は5%もかかります。
結構大きいですよね。。。
個人事業税は経費に計上できます。
売却時にかかる税金
譲渡所得税
売却益が出た場合、その売却益に対して所得税と住民税が課せられます。
ちなみに、もしも売却したときにたとえ銀行のローンがまだ残っていたとしても関係ありません。
売却益というのは売却したときの値段から取得したときの値段を差し引いて残った金額のことですから、銀行のローンのある・なしとはまた別の話になるのです。
なかには物件を売却して売却益が出ていて、税金も払っているにもかかわらず、銀行のローンが返せない人もいるそうです。
譲渡所得税は保有している期間によって税率が変わってきます。
① 5年以下の場合(短期譲渡所得)→ 39%
② 5年以上の場合(長期譲渡所得)→ 20%
もしも買ったときの値段と売ったときの値段との差額が1,000万円あり、なおかつその物件の保有期間が5年以下だった場合は、なんと390万円もの税金を払うことになるのです。
所得税のところで「不動産所得は総合課税です」と説明しましたが、不動産を売却したときに出てくるこの短期譲渡所得や長期譲渡所得に関しては分離課税になります。
ですから、もしも他に所得があった場合でもその所得と合算せず、単独で計算していいことになっています。
なお、法人名義の物件を売却して利益が出た場合は法人税が課せられることになります。
所得税は経費計上ができません。
相続税
相続税はその人がどれほどの資産を持っているかによって税率が変わってきます。
生きてるあいだにたくさんの不動産を買いまくったおかげで多額の相続税が発生してしまい、子供たちが多額の相続税を払うことになって困った・・・という話もよく耳にします。
相続税が発生しそうな場合は親は子供に不動産を残すだけではなく、相続税を払える分のお金を残して子供に相続しなくてはなりません。
相続税を払えない人はその物件を売却して払うことになってしまいます。
相続税を減らすために生前のうちに贈与するという方法もありますが、その場合は贈与税というものが課せられることになります。
相続税を払った方がトクなのか、贈与税を払った方がトクなのかはケース・バイ・ケースです。
結局は「税率がどちらを選んだ方が低いのか?」というところに落ち着くと思います。
たとえば相続税で50%も取られてしまうことが分かったのならば、ちょっとずつ子供に贈与していって、20%の贈与税を納めていった方がトクというケースもあるでしょう。
常に相続人になれるのはまずは「配偶者」です。
次になれるのはその「子供」が相続人になれます。
子供がすでに死亡していた場合は「孫」が相続人になれます。
法定相続分は配偶者と子供の割合は2分の1ずつになります。
もしも子供が二人いた場合は配偶者が2分の1、2人の子供は4分の1ずつを相続することになります。
相続税の計算はその亡くなられた方がどれだけの資産を持っていたかによって決まってきます。
相続財産には土地、建物、現預金、有価証券、その他があり、みなし相続財産には生命保険などがあります。
この財産を評価して計算し、借金などを差し引いて残った金額が課税遺産額となり、ここから基礎控除を引いた額に税率を掛けて相続税が計算されることになります。
基礎控除
基礎控除はこのような式で計算されます。
3,000万円 + 600万円 ✖️ 法定相続人の数
例:配偶者が1人、子供が1人だった場合の基礎控除
3,000万円 + 600万円 ✖️ 2 = 4,200万円
気になる相続税の税率ですが、こちらの一覧をみるとわかりやすいでしょう。
出典:https://www.ms-toushiguide.jp/guide/step01/merit04.html
まとめ
この3つのフェーズ(購入時、保有時、売却時)のうち、いちばん多額の税金がかかるのはやはり購入時でしょう。
不動産投資をやる人はある程度のお金を準備しておいた方がベターでしょう。
もしも1億円のアパートを取得するといったような場合は、ざっくり登録免許税で100万円、不動産取得税で100万円、合計して200万円がかかってきます。
この200万円も銀行から借りるというオーバー・ローンというやり方もありますが、それは銀行も良しとしませんし、キャッシュフローも悪くなってしまいますのであまりオススメはしません。