シンプルに。自由に。

北海道でアパートの大家業をしてます。4人家族。映画が好き。猫が好き。北の国でなまらのんびり生きてます。“every cloud has a silver lining.” したっけ!

スタートアップは個人の取り分は少なくしておけ!←これ、失敗経験から学びました


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不動産投資がある程度うまくいくようになると、みんな税金対策のために『法人化』になろうとします。

日本は累進課税制度なので、所得が高くなれば高くなるほど払わなければならない税金も高くなる仕組みなのです。だから、「法人化して、少しでも税金を安くしよう」というのが一般的な流れになっています。

会社を設立して、自分に給料を払うようにすれば、かなりの節税効果が得られます。さらに家族にも給料を払うようにすれば、さらに所得が分散されますから、節税効果がより得られます。

会社は役員や社員に給料を払うことによって、『人件費』という名目で経費で落とすことができます。経費で落とす額が多ければ多いほど、法人税は安くなります。

会社で認められている経費は、人件費だけではありません。人件費のほかにも、減価償却費、租税公課、支払利息、事務所費、水道光熱費、車両費、通信費、交際費、etc……。いろいろな支出を経費として落とすことができます。

個人に比べて法人の場合は、この経費で落とせる幅が広く設定されています。みんなこぞって法人になろうとする理由がここにあります。ところが、ここで大きな問題が生じます。湯水のごとく経費をバンバン使っていたら、会社はいったいどうなってしまうのか? という問題です。

今回は僕が経験した、経費を使いすぎていたことによって生じた問題について解説してみたいと思います。

目次

給料が先か? 内部留保が先か?

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経費をどんどん落としてゆくと、確かに課税対象額は減ります。法人税は、「収入」から「経費」を引いて、『残った金額』に課税されます。だから、法人税をなるべく安く済ませたいのであれば、

  1. 収入を減らす
  2. 経費を増やす


しか他に方法はありません。

たしかに経費を増やしていけば、課税対象額は少なくなります。だけど、その代わり『内部留保(貯金)』は減ることになります。

会社にしろ、個人にしろ、基本は「備えあれば憂いなし」です。貯金をすることは、何おいても重要なことなのです。健全なアパート経営をやろうと思えば、『物件のメンテナンス』は無視できません。

そうなると、数年に一回程度は外壁を修理したり、部屋を修理したりすることが必要になってきます。それだけで何百万円というお金が必要になってきたりもします。

また、老朽化に伴い、急に外壁が崩れ落ちたり、水道管が破裂したりすることもよくあります。ここでもまた何百万円というお金が必要になってきたりもします。新規物件を購入する際にも、ある程度の「頭金(自己資金)」を用意しておかなければいけません。

…それやこれやを複合的に考えてみると、やっぱり会社の口座にはある程度のまとまったお金を積んでおく必要があるのです。内部留保を貯めておくことは、会社経営にとってもっとも大切なことであると僕は思っています。

ところが、経費を増やしすぎると、この内部留保を貯めることができなくなってしまいます。いくら「税金対策になる」とはいえ、内部留保を一切しない。…というのはあまりにも危険なことです。『税金を払わないために、内部留保をしない。』なんて本末転倒もはなはだしいといえます。

ところが、僕はかつてこれで大失敗をしてしまった過去があるのです! 家族への給料(人件費)を過剰に増やしてしまったことにより、会社の経営が悪化した経験があるのです。

誰だって、給料がもらえることは嬉しいものです。でも、その給料を支払うのは会社であり、給料は会社の口座から毎月出ていくことになります。 もしもその人件費を支払わなければ、そっくりそのまま内部留保ができたのです。よく考えてみたら、これは「会社の貯金を切り崩して、個人にお金を渡している」ようなものなのです。

僕は個人でスタートしたアパート経営が軌道に乗ってきたのを機に、会社を設立しました。最初の頃というのは、会社経営のイロハも、ノウハウもわからないものです。だから、自分の給料のほかに、僕の父にも役員報酬を払っていました。今にして思えば、「なんて愚かなことをしていたんだろう…」と後悔しています。

なぜなら、父は年金だけで十分に暮らしていけて、会社から給料をもらう必要がなかったからです。父への役員報酬の支払いは、5年間続きました。父に支払っていた役員報酬をそっくりそのまま内部留保できていたら、今頃、会社はもっと儲かっていたことでしょう…。

そう考えると、無計画に父に役員報酬を支払っていた自分のことが無性に腹立たしく思えてきます。まあ、ここで痛い目をみたによって、僕は内部留保をすることの大切さと、湯水のように経費を使うことの恐ろしさを学んだわけですが…。 

父に給料を払ったことがそもそもの誤りだった!

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父は年金だけでも十分暮らして行けたのに、会社からの給料も当てにするようになりました。人間の欲望には際限がありません。無きゃ無いなりになんとかなったかもしれないのに、なまじっか有ることによって有るなりの生活をするようになっていきます。

父は止せばいいのに、札幌にセカンドハウス用のマンションを購入しました。しかも、オートロック付きの高級マンションでした。もちろん退職金もつぎ込みましたので、そういうマンションを購入したことに文句を言うつもりはありません。しかし、借金をしてまでそんな高級なマンションを手に入れる必要があったとはどうしても思えないのです。

しかも、自宅用ではなくて、セカンド・ハウス用として! そのマンションの支払いのおかげで、父は会社からの役員報酬を必要としました。よくよく考えてみたら、それは明らかにおかしな話でした。

もともと会社を設立したのは、僕が幸せになるためでした。父への役員報酬は、「今まで世話になった」ことへのせめてもの恩返しのつもりでした。ところが、その恩返しのためのお金が、オートロック付きの高級マンションの支払いに消えるとは夢にも思っていませんでした。

それは明らかに、父にとって分不相応な物件でした。そもそも別荘なんてものは、大金持ちの人じゃなければ夢見てはいけないものなのです。残念ながら僕たち家族は、とてもそんなレベルではありません! 

それなのに、僕の父は自分の欲望に目がくらんでしまったのです。父は極貧育ちです。だから、老後になって急にお金が多少入ってきたことにより、金銭感覚がマヒしてしまったのではないか? と僕は思っています。

いずれにせよ、父に役員報酬を出すということを決めたのは会社の社長である僕の責任です。あの時、もう少しじっくり考えていれば、苦労しなくても済んだのです。父へ渡す給料は、あくまでも「お小遣い程度」にとどめておくべきだったのです。

2人分の人件費を会社が負担する必要なんかなかったのです。役員報酬を支払うということは、社会保険料も支払わなきゃならないということになります。たとえば、月額25万円の役員報酬の場合、社会保険料は8万円になります。

合計で30万円です! 考えてみてください。誰かに25万円の給料を支払うということは、その分、月30万円というお金が会社の口座から消えてゆくことになるのです! 月30万円の純利益を不動産投資で稼ぐということは、もの凄く大変なことです。

「人件費」ということについて僕が考えたこと

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今回の僕の失敗ポイントは、次の通りです。

  • 父がセカンドハウスなんて分不相応なものを欲しがったこと
  • そのセカンドハウスを現金で購入したのではなく、ローンを組んでしまったこと
  • そのローンの支払いのために会社からの役員報酬をほしがったこと
  • 本来であるならば役員報酬なんか払わずに、「内部留保」しておかなければならなかったのにそれをやってこなかったこと
  • 突発的なことが起こっても慌てることのないように、「会社の口座にキャッシュを残しておこう」という意識が僕にも、父にも欠如していたこと


僕と父は話し合い、そのマンションを売却することにしました。幸いにしてすぐに買い手が見つかり、事なきを得ましたが、もしもあのまま父がマンションの所有にこだわっていたらどうなっていたかわかりません。

父の役員報酬をまるまるカットしたことにより、会社の財務内容はV字回復をしました(当たり前ですが)。ただし、役員報酬というのは年度の途中で勝手に変えることができず、そのことで税理士さんとの間でいろいろとすったもんだがありました。

長くなるので、その話はここでは触れないでおきます。この経験を踏まえて、僕は次のことを気をつけていこうと考えました。

  • 「セカンドハウスがほしい」なんて分不相応なことは考えないようにする
  • もしも家族の誰かが贅沢品に目がくらんでいるようだったら、全力でそれを阻止する
  • 仮に何かをほしがったとしても、その負担を会社がするなんてバカげたことはしないようにする
  • 人件費は最低限におさえるよう努力する
  • 内部留保を大切にして、いざという時のために備えておく
  • 「会社にお金があるから、使っちゃえ!」という発想をしないように心がける


今回の失敗で僕は、「会社にとって人件費というものがいかに会社の収益を圧迫するものか?」ということを改めて認識しました。

今、リストラをする企業が問題視されていますが、僕は会社側の気持ちも少しは理解できるようになりました。人件費を浮かすことができれば、わざわざリスクを負って何かに投資をする必要もありません。そんなことをしなくても、会社は簡単に利益を上げることができるからです。

僕はこれまで、「企業というのは労働者の雇用を守るべきだ」と思ってきました。しかし、自分が給料を払う立場になってみて、『労働者に給料を払う』ということがいかに大変なことであるか、がよくわかりました。

人件費を払い過ぎて会社がつぶれてしまったら、それこそ本末転倒ですからね! またひとつ勉強になりました。