シンプルに。自由に。

北海道でアパートの大家業をしてます。4人家族。映画が好き。猫が好き。北の国でなまらのんびり生きてます。“every cloud has a silver lining.” したっけ!

部屋の退居時にモメないために僕がいつも実践していること


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アパート経営をしていて、結構モメルことが多いのが、退居のときです。部屋の修繕箇所の負担割合について、よく入居者とモメたりします。

退居しようとする人は、なるべくお金を負担したくないと考えています。大家さんの方も負担したくないと考えています。双方の思惑が噛み合わず、もめ事に発展しやすいのが退居です。不動産会社の営業マンは、この入居者と大家さんのあいだに立って、双方の言い分を聞きながら、上手にハンドリングをしなければいけません。

場合によっては裁判沙汰になったりします。僕が不動産会社の社員だった頃、この退居に関する業務がいちばん嫌でした。営業マンとしては、『売上に直結するような業務に集中したい。』というのが本音です。一銭にもならない退居に関する業務は、はっきり言って避けたい仕事なのです。

もちろん、契約書には退居の際の負担割合について書かれてはいます。国土交通省は、『ガイドライン』というものを発表しています。しかし、それはあくまでも形式上のことです。人間というのは、いざ、お金がかるむと、そんな形式的なことは一切関係なくなってしまいます。

こちらがいくら「ガイドラインでは、こうなっています。」「契約書にはこう書かれています。」と説明しても、いったんモメてしまったら最後、感情的になってなかなか納得してくれません。

目次

トラブルが起きたら、「戦略として」なるべく穏便に済ませる

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とくに2月、3月というのは不動産会社にとっていちばん忙しい時期です。その時期は部屋を探しに来る人がグッと増える繁忙期です。でも、部屋を探しに来る人が増えるということは、退居する人も増えるということでもあります。

お客さんの案内などでただでさえも忙しいのに、めんどくさくてモメやすい退居業務も重なり、この時期の営業マンは非常にストレスを抱え込みます。不動産会社の営業マンがいちばんピリピリする時期が、この2月、3月の繁忙期なのです。

そんなピリピリした時期に、たかだかひと部屋の退居のために、めんどくさい入居者、あるいはめんどくさい大家さんと対応するハメになってしまったら、営業マンは大変です。不運です。

そのモメゴトの解決に時間と労力を取られ、成績に影響してしまったらたまったものではありません。

モメゴトに発展するのは、はっきり言って、入居者が悪いケースがほとんどです。どう考えても自分が付けた壁の穴を、「最初から穴があいていた」と言い張る入居者。部屋中のクロスがタバコのヤニで真っ黄色なのに、「最初から黄色かった」と言い張る入居者。ペット不可の物件なのに、隠れてペットを飼っており、明らかにその形跡があるのに、「飼っていない」と言い張る入居者。ハウス・クリーニング代を出し渋る入居者。etc…。

退居のときにモメるケースのほとんどが、本来ならば入居者が負担しなきゃいけないことばかりです。入居者自身も、うすうすそのことはわかっているのです。契約書にもそのように謳っている、ということも実はよく把握しているのです。でも、いかんせん、お金がない! 部屋の原状回復にかかる費用を捻出することができないのです。…だから最後の手段として、感情的になって怒り出すという戦略を取っているのです。

『無い袖は振れない』といった具合に開き直っているのです。なかには営業マンを怒鳴りつけるような輩もいます。こういうケースにまで発展していったら、営業マンは当然のことながら大家さんと相談します。「一生懸命、説明したのだが、どうしても入居者に納得してもらえません。」ということを大家さんに相談します。

…ここで、大家さんは次の2つのタイプに分かれます。

  1. あくまでも「入居者に負担させろ」と強気に出る大家さん
  2. 事情を勘案し、なるべく穏便に済ませようとする大家さん


さて、あなたはどちらを選択するでしょうか? 僕は確実に、「2.」の方を選択します。もちろん僕だって、できることならお金を負担したくありません。悪いのは、誰が考えても入居者の方です。もしも裁判をすれば、こちらが勝訴するのは間違いないでしょう。しかし…。

しかし、たとえそうなったら営業マンを振りまわすことになります。ただでさえも忙しいのに、さらに忙しい想いをさせることになります。自分の正しさを証明するために、みんながストレスを感じるような選択をすることが本当に正しいことなのでしょうか?

…僕はそうは思いません。

トラブルが起きたら、いちばん平和的で、いちばん誰も傷つかない方法を探す

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いくらこちらが「正しい」からといって、それを主張し、頑なになることは賢い選択でしょうか? 困り果てて電話をかけてきた営業マンを叱責し、「入居者が悪いんだから、入居者に負担させろ!!」と突っぱねることは、果たして本当に最もベストな対応なのでしょうか?

僕は違うと思います。僕だったら、そういう厄介な入居者と遭遇してしまったら、早々に諦める。諦めて、次のことを考える。…という戦略を取ることにしています。もちろん、それはあまりおもしろくない選択です。こっちだって本音を言えばお金を負担したくなんかありません。

だから、負担金額を折半するとか、何割か負担してもらうとか、いろいろ交渉はします。だけど、ほとんどのケースはうまくいきません。とくに相手が感情的になってしまったら、もうダメです。そこまでいってしまったら、僕はいつも譲歩することにしています。戦略として、譲歩する選択をするのです。

…それはモメた相手のためではありません。営業マンのためです。そして、最終的には健全で安定的なアパート経営をする自分自身のためです。

いちばん平和的で、いちばん誰も傷つかない方法で問題を解決してゆく。…この姿勢は意外に大切です。このような戦略を取ることによって、営業マンとも良好な関係をキープできます。

ここで、こちらが折れることによって、「あの大家さん、すごくいい人だから、安心してお客さんを紹介できるぞ!」と営業マンに思わせる効果もあります。そう営業マンに思わせることに成功できたら、儲けもの。きっと、その営業マンは「あのときの恩義がある。」という理由で、また次もお客さんを紹介してくれることでしょう。

ところが、あくまでも自分の正当性にこだわり、お金を負担することを拒否し、最後の最後まで入居者とモメたりなんかしたらどうなるでしょう? 「自分の正義」は貫けるかもしれませんが、営業マンからの評判もすこぶる悪くなり、「あの大家さん、めんどくさいから、お客さんを紹介するのやめておこう。」という話になってしまいます。

それはあまり賢いやり方ではありません。…そんな風に営業マンに思われてしまったら、アパート経営それ自体にも影響してきます。だから、賢い大家さんは、モメゴトにも上手に、スマートに対応します。そして、自分の正しさよりも、営業マンとの信頼関係を重要視します。

金持ち喧嘩せず。…ですね。そのモメた入居者は、退居してしまえばそれで関係は終わりになります。でも、不動産会社の営業マンとの関係は、これからも続くゆくのです。

アパート経営は、長距離走です。マラソンです。これから先も、長い期間にわたってお客さんを紹介してもらわなければ、商売が成り立たなくなってしまいます。だから僕は、もしもお客さんとモメゴトに発展した場合は、

  1. いちばん平和的な方法
  2. いちばん誰も傷つかない方法


…この2つで問題を解決してゆくことを心がけています。『自分の正しさ』なんてものは、ビジネスを成功させる上ではどうでもいいことなのです。それが商売人魂です。